TOP > 分析機器 > 覚せい剤の検査

覚せい剤の検査

覚せい剤の検査

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
覚せい剤の検査
 最近話題の違法薬物には様々な種類があり、その中の一つとして「覚せい剤(覚醒剤)」があります。日本では「覚せい剤取締法」で指定された薬物で、化学合成にて得られるアンフェタミン、メタンフェタミン等が含まれます。覚せい剤は脳の中枢神経を刺激することにより気分が高揚して多幸感が得られますが、効果が切れると倦怠感、情緒不安定や錯乱などに襲われます。また精神的依存性が強いため自らコントロールできず使用を止めることができなくなります。更に長期的に使用を続けると幻覚や覚せい剤精神病が現れ、もし止められたとしてもこれらの後遺症が残る可能性が高いと言われています。
 この覚せい剤の検査方法として昔のドラマなどでは粉をペロッと舐めてその味(苦み)で判定するシーンがありましたが、実際には簡易検査キットを使用します。簡易検査キットは呈色反応を見るもののほか、セルロース膜上を検体が試薬を溶かしながらゆっくりと流れる性質を使って測定する「イムノクロマト法」を用います。溶液検体中に目的成分(薬物)が含まれていると標識抗体がこれを掴み、流れていく途中のキャプチャー抗体にトラップされて検出ラインに出現します。標識抗体が何も掴んでいなければ検出ラインを通過してコントロールラインまで到達します(このイムノクロマト法は妊娠検査やインフルエンザ検査にも応用されています)。
 また機器分析にて詳細な測定をする場合、実際に粉体が存在するならばFT-IR(フーリエ変換赤外分光装置)にて直接分析する方法が用いられます。ATR法を用いれば測定操作は容易で、得られた測定結果からその化学構造が推定できます。更に、尿や血液、毛髪などに含まれる検出成分が微量の場合には液-液抽出 または 固相抽出によって目的成分を抽出しGC(ガスクロマトグラフ)またはGCMS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)にて分析する方法が用いられます。抽出操作には知識と熟練が必要ですが、GCやGCMSには特殊なオプションが不要で一般的な測定と変わりなく結果が得られます。
(弊社 「
メールマガジン2019/11月号」のコラムを再編集して掲載いたします) 
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

Contact

メルマガ登録・製品についてのお問い合わせは、
メールフォームまたはお電話からお寄せください。

お電話での
お問い合わせ

03-5822-5051

【受付時間】9:00~17:00
(土日・祝日除く)