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HPLCのグラジエント、低圧 と 高圧 どちらを選択する?

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HPLCのグラジエント、低圧 と 高圧 どちらを選択する?
●グラジエントとは

 グラジエントとはHPLC(高速液体クロマトグラフ)において溶離液の濃度比率を連続的に変化させながらサンプル中の成分を分離溶出させる方法です。通常、カラム内から溶出されやすい溶媒の濃度を上げていく様なプログラムを組みます。すると、GC(ガスクロマトグラフ)の昇温プログラムの様にカラムから溶出されやすさが変化して分離成分の出現タイミングに変化が出ます。

●グラジエントの例

 一般的なHPLCの溶離液濃度一定条件(アイソクラティック)では、分離される条件が変わらないため、測定目的成分毎の分離特性によってはピークが重なってしまったり、溶出に時間が掛かり過ぎたり、ピークがブロード(幅広)になってしまったりします。これに対するグラジエントの効果についての説明を図1に示します。

 

図1 グラジエントを利用することによる測定目的成分の分離効果

 

 例えば、逆相カラムにてA~Eの成分を水/アセトニトリル系溶離液で分離したいとします。図1上段のクロマトグラムの様にアイソクラティックの水/アセトニトリル=60/40ではA、B、Cが分離されたものの比較的に溶出されにくいDとEは時間が掛かり過ぎてしまい、ピークもブロードとなってしまいました。これに対し、濃度比率を変えたアイソクラティックの水/アセトニトリル=20/80(図1中段のクロマトグラム)では全体的に溶出されやすい条件のためDとEが上手く分離できても、A、B、Cは溶出が早過ぎるためピークが重なってしまいました。

 そこで溶離液の初期濃度比率を水/アセトニトリル=70/30として連続的に濃度比率を上げていき最終的に水/アセトニトリル=10/90としたところ、図1下段のクロマトグラムの様にA~Eの各成分が上手く分離されました。この様に溶離液の濃度コントロールをする機能がグラジエントです。

 ●グラジエントの種類

 HPLCのグラジエントには低圧グラジエント(LPGE)と高圧グラジエント(HPGE)の2種類があります。2つのグラジエントを説明する概略図を図2に示し比較します(グラジエントに必要な部分のみの説明図でその他のユニットは省略して記載します)。

 

図2 低圧グラジエントと高圧グラジエントとの比較(概略図)

 

・低圧グラジエント(LPGE)

 送液ポンプの手前に電磁弁を設け、各溶媒の濃度比率に応じて電磁弁を自動切換して混合します。送液ポンプの手前で溶離液濃度を変えて混合しているため(混合時の溶離液にポンプの高圧力が掛かっていないという意味での)低圧グラジエントと呼びます。

最大の特長は送液ポンプ1台でグラジエントが可能となる点です。導入時の初期コストが抑えられ、更に送液ポンプのランニングコストも低くできます。

基本的なコンベンショナルHPLCシステムでは低圧グラジエントが使われるケースが比較的に多い様です。

 

・高圧グラジエント(HPGE)

 混合させる溶離液の種類ごとに送液ポンプを用意し、各溶媒の濃度比率に応じて流量を自動で調整して送液後に混合させます。送液後に各溶媒が混合しているため(混合時には溶離液にポンプ圧が掛かっているという意味で)高圧グラジエントと呼びます。

最大の特長は溶媒を混合してからカラムに導入されるまでの容量(図2の赤いライン)が低圧グラジエントより小さいため、グラジエント遅れが少なくなることです。

図3に設定プログラムと実際のグラジエント遅れを比較した例を示します。

 

図3 設定プログラムに対する各グラジエントの遅れ

 

 この図から高圧グラジエントでは(液が混合されてからカラムに入る迄の到達容量が少ないため)設定プログラムがグラジエント操作を命令してからグラジエントが掛かるまでの時間が短く応答性が良好なことがわかります(図3のように同じグラジエントプログラムを使用すると低圧より高圧の方が応答性は良いので、遅れが少なく測定が早く終わります)。

高圧グラジエントはコンベンショナルHPLCのほか、超高速HPLCなどで選択されます。

 ●低圧 と 高圧、どちらを選択すれば良い?

 低圧グラジエントと高圧グラジエントの特長比較を表1に示します。それぞれに優位性が有るため、測定の目的や予算に合わせて選択することが良いでしょう。

 

表1 低圧グラジエントと高圧グラジエントの特長比較

項目

低圧グラジエント

高圧グラジエント

初期(システム導入)費用

送液ポンプ1台で安い

ポンプ台数分費用は高くなる

送液ポンプの消耗品コスト

送液ポンプ1台のみ

ポンプ台数分コストが必要

混合溶媒数

最大4液(が一般的)

2液または3液(が一般的)

グラジエント応答性

低い

良好

高流量測定

電磁弁操作に限界あり

比較的に安定

高圧測定時(20MPa以上)の溶媒圧縮率変化

変動あり

影響なし

 

 ●中古HPLCグラジエントシステムでは、低圧 と高圧 どちらを選択する?

 中古HPLCではシステム全体的な導入コストが大幅に抑えられるところに優位性が有ります。よって、2液グラジエントで比較すると低圧 と高圧いずれのシステムも価格に激しい差は見られません。このことから、(実際の測定目的に合致した仕様を優先して選択するのが大前提として)「少しでも価格を抑えるならば低圧」、「3液以上のグラジエントは低圧」、「2液グラジエントならば高圧」のシステムを選ばれるケースが多い様です。


 ●アイソクラティック条件でもグラジエントシステムは優位性を発揮します!

 グラジエントシステムは(低圧、高圧いずれも)各溶媒をそれぞれ準備すれば装置がこれを自動で混合するため、測定前に溶離液調製をする必要がありません。よって、測定がアイソクラティックな条件でもグラジエントシステムを用いれば、①測定前に溶離液を調製する(事前に混合しておく)必要がない、②溶離液調製毎の誤差が無くなる、③本測定前の適正な濃度条件出しをするため細目に濃度変更(テスト測定)ができる、④溶離液交換時の残液が多量に無駄にならない など多くの利点があります。

よって測定項目毎に溶離液の条件(溶媒種類や濃度比率)を様々変更させてアイソクラティック測定を行う場合ではグラジエントシステムの検討もおすすめいたします。

 

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