ヘリウムが無ければガスクロマトグラフは…?

昨今の世界的なヘリウム供給不足により、様々な影響が出てきています。そのひとつがガスクロマトグラフのキャリアガスです。キャリアガスはカラムを通して測定サンプルを運び込む役目のガスで、試料に影響を及ぼさない不活性なものが必要です。よって、安全でピーク分離に適したヘリウムは特にキャピラリガスクロマトグラフには良好でした。
「ヘリウムガスがないからガスクロマトグラフで分析はしない!」と言う訳にはいかず、測定を止めることもできません。各装置メーカでは、①ヘリウムをできるだけ少ない量で測定する方法、②ヘリウムガスを他のガスに代替する方法などを紹介しています。2019年時点でガス販売会社ではヘリウムガスの「新規顧客の注文は受けない」、「取引顧客の販売量制限」という状況が続いており、新たにガスクロマトグラフを導入しようとしているユーザにはヘリウムガスの入手が困難です。その場合は②のヘリウムガス代替の一択となります。
・水素をキャリアガスにする場合
水素は安価で入手しやすく、分離に最適な線速度が広いためガスクロマトグラフのキャリアガスとして比較的に適しています。しかし、最も注意する点は酸素との反応で爆発することにあります。酸素は空気中に存在しているため、キャリアガスとしての水素放出や不用意なリークによって室内の水素濃度が上がることは大変危険です。よって、じゅうぶんな安全対策が必要です。
・窒素をキャリアガスにする場合
窒素は安価で入手しやすく、爆発の危険もないため窒息さえ注意すれば扱いやすいガスです。しかし、キャリアガスとしては分離に最適な線速度が比較的に狭いためヘリウムと同じ条件で測定するとピークの分離が悪くなる場合があります。これを回避するためには測定時間を延ばす必要が生じます。
(これらの詳細は各装置メーカの情報を参照ください)
ヘリウムがないからガスクロマトグラフの測定を諦めるのではなく、新たな条件出しをして測定をするガスクロマトグラフをご検討ください。
なお、テクノミックスでは中古ガスクロマトグラフをご案内可能です。是非ご覧ください。
テクノミックスの中古ガスクロマトグラフ在庫ご案内→こちらをクリック
※人気商品のため、既に在庫なしの場合はご容赦ください。